飲食店のインバウンド対応
外国人のお客様に席のQRで注文してもらえるか
最終更新: 2026年9月2日
駅前や観光地の店では、外国人のお客様が入ってくる回数がはっきり増えています。手が止まるのはたいてい注文の場面で、指差しと単語で何とかしている店が多いはずです。席のQRから注文を受ける形にすると、この場面だけは客のスマホ側で片が付くことがあります。ただし翻訳が届くのはメニューの文字までで、アレルギーの相談も年齢確認も会計も残ります。どこまで任せられて、どこからは人が出るのか。メニューの書き方まで含めて整理しました。
1. 困っているのは、注文の場面
観光庁が2026年4月28日に公表した令和7年度の受入環境整備アンケート(調査期間は2025年11月18日から2026年1月13日)で、旅行中に困ったことを聞いた結果がこうなっています。
- 困ったことはなかった:43.7%
- ごみ箱の少なさ:17.2%
- 施設等のスタッフとのコミュニケーション:15.4%
- 多言語表示の少なさ・わかりにくさ:10.9%
- クレジット/デビットカードの利用:10.7%
最初に目に入るのは、いちばん上の数字だと思います。半数近くは、特に困らずに旅行を終えています。全部の店が身構える話ではありません。
場所を絞ると景色が変わります。同じ調査で、多言語表示に困った場所は都市部では鉄道駅構内が30%で最多、地方部では飲食店が23%で最多でした。そして困ったときの対処は「ICTツールを利用」が57%です。店が何かを用意する前に、半分以上は自分のスマホで解決しています。
訪日客そのものは2025年に4268万人(日本政府観光局の推計値)で、前年より15.8%増えました。ただし全国どこも同じように増えるわけではありません。増えたと感じている店もあれば、去年とほとんど変わらない店もあります。
この2つを並べると、店側の打ち手は「翻訳を用意する」より「客のスマホが読める形に置いておく」ほうに寄ります。翻訳の道具を持っているのは、客のほうだからです。
2. 紙のメニューと、画面のメニュー
翻訳アプリのカメラを紙のメニューにかざせば、その場で日本語が置き換わって見えます。今でもよく使われている方法で、条件がそろえば十分に読めます。
そろわないのは、こういうときです。
- 縦書き、筆文字、崩した書体のメニュー
- 品名と値段が離れているレイアウト。訳した文字がずれて、どれがいくらか読めなくなる
- 手書きの黒板や、写真に文字を重ねたPOP
- 薄暗い店内。カメラが文字を拾いきれない
それに、かざし続けないと消えます。手を下ろせば日本語に戻るので、連れと相談しながら選ぶのには向きません。
席のQRから開く注文画面は、ここが違います。商品名も説明もカテゴリ名も、画像ではなくテキストとして画面に出ています。ウェブページをまとめて翻訳する機能はブラウザに最初から入っていて、iPhoneのSafariにもAndroidのChromeにもあります(端末や設定によっては出ないこともあります)。一度訳しておけば、訳された状態のまま指で選んでカートに入れられます。
訳が崩れやすいのは料理名です。店の造語や当て字は、音をそのまま写されたり、字面どおりに訳されたりします。何の料理か伝わるかどうかは、名前より説明文と写真にかかってきます。
3. 訳される前提で、メニューを書き直す
翻訳に任せるなら、任せられる形にしておくほうが効きます。触るのはメニューの登録内容だけなので、費用はかかりません。
- 写真を入れる:いちばん効きます。訳が多少おかしくても、写真が合っていれば選べます
- 説明文に素材と調理法を1文で書く:「炭火で焼いた鶏もも肉。塩とタレを選べます」くらいで足ります。名前だけでは訳しようがありません
- 店内でしか通じない言い方を消す:「本日の一品」「大将のおまかせ」は、訳したところで中身が伝わりません
- 辛さ、生もの、内臓、アルコールの有無を書く:知らずに頼まれると、店も客も後で困ります
- 画像に文字を焼き込まない:写真の中の日本語は翻訳の対象外です。値段や品名を画像に載せているなら、テキストへ移してください
数量と単位は訳を挟んでも変わりません。「2本」「300g」「1杯」はそのまま届きます。迷ったら数字で書くほうが安全です。
写真の撮り直しまでやると重くなるので、外国人客がよく頼む品から順に手を入れれば足ります。撮り方そのものはメニュー写真の撮り方にまとめました。
4. 翻訳では代われない場面
ここから先は、画面を訳しても残ります。
アレルギーと、宗教上の制限。実害がいちばん大きいところです。訳の取り違えが、そのまま口に入ります。スグオーダーの注文画面には自由記入の備考欄がないので、細かい相談を画面で受けることもできません。原材料を書いた紙を1枚用意しておいて、口頭と指差しで確かめるほうが確実です。画面で拾いきれない要望の扱いはデメリットと対策にも書きました。
年齢確認。お酒は20歳からで、これは画面では確かめられません。見た目で判断しづらい相手ならなおさらです。注文が画面から入る形にしても、運ぶときに確認することになります。飲み放題と年齢確認の実務は居酒屋への導入にまとめてあります。
会計。スグオーダーは決済機能を持っていないので、支払いは今お使いのレジのままです。注文が通っても、最後に現金しか使えないと止まります。先に挙げた調査で、カードの利用に困った人が10.7%いました。行き止まりになるのはこの場面です。これはレジ側の話なので、注文の仕組みを入れても変わりません。
食べ方の説明。すき焼きの生卵、しゃぶしゃぶの順番。手が要る料理は、結局その場で伝えることになります。
店員呼出のボタンは付いています。ただ、押されたあとに卓へ行くのは人です。呼ばれる回数まで減るわけではありません。
5. 効く店・効きにくい店
同じ「外国人客が来る店」でも、効き方はかなり分かれます。
| 観光地や駅前で、毎日のように外国人客が入る店 | 効きます。注文のたびに起きていた聞き返しが、そのまま減ります |
|---|---|
| 写真で選べる料理が中心の店(丼、麺、居酒屋の単品) | 効きます。訳が崩れても写真で決まります |
| 1卓で何度も追加注文が入る店 | 効きます。2回目からは声をかけずに頼んでもらえます |
| 少人数で回している店 | 効きます。手が離せないときに、注文だけ先に入ります |
| コースやおまかせが中心の店 | 効きにくい。選ぶ場面が少なく、説明のほうが本体です |
| 鍋物など、食べ方の説明が要る店 | 効きにくい。注文は通っても、卓に付く時間は変わりません |
| カウンターで会話しながら出す店 | 向きません。そのやりとり自体が商品なので、注文を画面へ移す意味が薄い |
| 現金しか使えない店 | 先にレジのほうを考えるほうが早いです |
| 外国人客が月に数組の店 | このために入れる必要はありません。翻訳アプリと指差しで足ります |
下の3行に当てはまる店は、無理に急がないほうがいいと思います。注文の回数が少なければ、画面へ移して浮く時間もそれなりです。
6. 始めるなら、写真とQRから
順番はこうなります。
- 自分の目で訳してみる:パソコンのChromeで注文画面のデモを開き、ページを英語に翻訳してみてください(アドレスバーの翻訳アイコンか、右クリックのメニューから選べます。版や設定によっては出ないこともあります)。何がどう訳されるかは5分で分かります。判断はそれからで足ります
- 写真のない商品に写真を入れる:外国人客がよく頼む品から。ここがいちばん効きます
- 説明文を1文足す:素材と調理法だけ。長い文章は要りません
- QRの札に英語を1行足す:「Scan to order」程度で伝わります。席のQRの作り方と置き方はQRコード注文の始め方にまとめました
- 2週間、聞き返した回数を数える:注文を取るときに聞き返した回数が先月より減っていれば、効いています
減らなかったときは、原因が言語ではないかもしれません。メニューそのものが分かりにくい、写真が古い、品数が多すぎる。日本語の客が迷っている場所と、たいてい同じところです。
導入そのものの進め方は個人店の導入ガイドに、費用の内訳はモバイルオーダーの費用にまとめています。
訳された画面がどう見えるかは、デモで確かめられます
スグオーダーは月額780円(税込)/1店舗、初期費用0円。多言語のメニュー登録には対応していませんが、注文画面の文字はテキストなので、お客様の端末の翻訳機能の対象になります。14日間無料で、クレジットカードの登録も要りません。まずはデモを英語に訳して、自分の目で見てみてください。
無料で始める先に試したい方は、実際の注文画面のデモをどうぞ(登録・インストール不要。注文はどこにも届きません)。
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