ラーメン店にモバイルオーダーは向く?
券売機を残したまま、追加注文だけ受ける
最終更新: 2026年9月7日
先に結論を書くと、ラーメン店での効き方は業態の中では小さいほうです。入口の券売機で食券を買って、座って、出てきたものを食べて帰る。この流れなら、注文を聞きに行く仕事はもともと発生していません。それでも替え玉と追加のトッピング、それに夜のビールだけは事情が違います。麺上げの最中に声をかけられても、店主の手は止められない。券売機はそのままで、その1回ぶんだけ席から受ける形が組めます。組み方と、やらないほうがいい店を書きました。
1. 注文が一度で終わる業態
居酒屋なら1卓で4回も5回も呼ばれます。焼肉も似たようなものです。ラーメン店は違います。食券を渡したら、あとは黙って待つ。注文を取りに回る工程が、そもそも無い店が多い。券売機がその仕事を先に引き受けているからです。
席にいる時間も短いです。マルハニチロ(2026年3月にUmiosへ社名変更)が2018年2月に全国の20歳から59歳の男女1,000名へ聞いたラーメンとチャーハンに関する調査では、ラーメンが出てきてから食べ終わるまでの時間は平均14.0分でした。最も多い回答は10分から15分未満で40.3%。待ち時間を足しても、席に座っているのは20分から30分といったところです。
ここまで読んで、うちには要らないのでは、と思ったなら、たぶん正しいです。席のQRを入れて浮く人件費は、ラーメン店ではほとんど出ません。居酒屋や焼肉と同じつもりで導入すると、期待外れになります。営業が目に見えてラクになるのを期待して入れるなら、やめておくほうがいい。
それでも書く理由は、この業態には手間の削減とは別の話が1つ残っているからです。
2. 席から受けたいのは、替え玉と追加の1回
麺が残り3分の1になったところで、替え玉を頼みたい。ところが店主は寸胴の前で麺を上げていて、こちらを見ていません。湯気と換気扇の音で声も通らない。もう一度呼ぶか、諦めるか。カウンターのラーメン店で、たぶんいちばんよく起きている取りこぼしです。
食べ終わるまで平均14分という数字が効いてくるのはここです。替え玉を頼める窓は、実質2分か3分しかありません。呼んで、気づいてもらって、伝えて、茹で上がりを待つ。どこかで数十秒ずつ遅れると、残ったスープだけになります。頼まなかったのではなく、間に合わなかった。この差は伝票には出ません。
金額にすると小さく見えます。替え玉150円で、1日に5回逃していると仮に置けば、ひと月(30日)で2万2千円ほど。月額の数百円と比べれば釣りは来ますが、店を建て直すような額ではありません。数字より、麺上げの手を止めて聞き返す回数が減るほうが、店主には効くかもしれません。
※ 150円と1日5回は、どちらも仮に置いた値です。自分の店の値付けと、実際に頼まれている回数で計算し直してください。
追加はほかにもあります。味玉、のり、チャーシューの増し。餃子とライス。夜に酒を出す店なら、ビールのおかわりがいちばん大きい。券売機で買い直す形だと、お客様は箸を置いて入口まで戻ることになります。多くの人はやめておきます。そのあたりは券売機との比較に書きました。
3. 券売機を残したまま、追加だけ後払いにする
最初の1杯まで席のQRに移す必要はありません。ラーメン店で券売機が定着しているのは、前払いで未収が出ず、レジ締めが軽くなるからです。回転の速い店ほどこの利点が効きます。わざわざ崩す理由が見当たりません。
組み方はこうなります。メインの注文は今までどおり食券で前払い。追加だけ席のQRから受けて、後払いにする。会計の場所が2つに分かれるので、始める前に決めておくことが3つあります。
- 追加分をどこで受け取るか:退店時にカウンターで受ける形がいちばん単純です。券売機の機種によっては追加会計のボタンを作れるものもあるようなので、販売店に聞いてみてください
- 未収をどう防ぐか:後払いなので、そのまま出られると取り損ねます。カウンターだけの店なら目が届きますが、2階席や離れた座敷があると起きます。お帰りの際にレジへ、の一言を卓上と画面の両方に出しておくこと
- レジ締めをどう合わせるか:券売機の売上と追加の売上を別々に数えるのか、合算するのか。レジへ打ち込む手間が残るかどうかはPOSレジ連携のほうに書きました
券売機を撤去して全部を席のQRに寄せる形は、ラーメン店では勧めません。前払いを捨てることになるからです。混雑時に取りっぱぐれが増えたと気づいてから戻すのは、なかなか面倒です。
券売機の買い替えを検討中なら、順番を考える価値はあります。東京商工リサーチの集計では、2026年上半期(1月から6月)のラーメン店の倒産は36件で、前年同期から44.4%増えました。2009年以降の上半期では最多だそうです。うち物価高が原因のものが10件、人手不足が5件で、どちらも上半期としては過去最多。新品のボタン式券売機は約50万円からです(券売機との比較に価格の目安をまとめています)。取りこぼしている追加注文を拾いたいだけなら、安いほうを先に試して、機械の更新はそのあとで判断しても遅くありません。
4. カウンターに置くときと、回転の話
カウンターは席が詰まっています。QRの札を無造作に置くと、隣の席の番号を読んでしまいます。その席の注文がよそへ出てしまうので、番号は大きく、席の正面に。札の作り方と置き方はQRコード注文の始め方にまとめました。相席や詰め席をやる店なら、席ごとに番号を分けておくと、そのまま伝票の代わりになります。
丼を出す先の取り違えは、これでも消えません。席番号は画面に出ますが、運ぶのは人です。そちらの話はオーダーミス対策に分けて書きました。
それより先に考えてほしいのが、回転です。
昼のピークに外まで行列ができる駅前の店だと、これは笑い事では済みません。1席あたりの売上を決めているのは単価より回転数のほうなので、そこを触ると土台が動きます。
幸い、時間帯で分けられます。行列の出る昼は券売機だけで回して、夜だけ席から追加を受ける。時間帯によるメニューの出し分けはランチとディナーの切り替えに書いた仕組みがそのまま使えます。昼と夜で客層が変わるラーメン店なら、この分け方が現実的だと思います。
電波は先に確かめてください。地下や半地下の店は珍しくありません。カウンターだけの狭い店なら届いていることが多いようですが、いちばん奥の席で実際に読ませてみるのが早いです。
5. 向くラーメン店・向かない店
| 夜は酒とつまみを出す店 | 向く。追加の幅が広く、単価も乗ります。ここがいちばん効きます |
|---|---|
| 座敷やテーブル席のある郊外型 | 向く。カウンターと違って目が届かず、家族連れの席は呼びにくい |
| 替え玉が定番の店 | 向く寄り。頼める時間が短い注文なので、間に合うかどうかがそのまま売上になります |
| つけ麺・まぜそば中心の店 | 向く寄り。追い飯やスープ割りの声かけを、画面から受けられます |
| 昼に行列ができる駅前の店 | 慎重に。滞在が延びると回転が落ちます。夜だけ、テーブル席だけ、から試すこと |
| コールで注文を伝える二郎系 | 向かない。無料トッピングを口頭で言う形のほうが速く、画面を挟むと遅くなります |
| カウンター数席を店主ひとりで回す店 | 向かない。目の前にいる相手との間に画面を置く理由が薄いです |
| 券売機で完結し、追加がほぼ無い店 | 要りません。押すものがない画面を置いても、卓が散らかるだけです |
向かない側に入っても、一部だけ使う手は残っています。カウンターは今までどおりで、奥のテーブル席だけQRを置く。あるいは昼は使わず夜だけ。全席で入れるか入れないかの二択にすると、たいてい入れないほうへ倒れます。
6. 始めるなら、どの席から
- 1週間、追加注文を数える:替え玉、トッピング、サイド、ドリンク。券売機の売上明細か、追加で受けた現金を見るだけです。1日1回か2回しか出ていないなら、無理に入れなくていい
- 夜の時間帯から置く:昼のピークは券売機のまま。行列の出ない時間で試せば、回転への影響を気にせず操作の流れだけ見られます
- 席は2つか3つ:カウンターの端か、テーブル席。全席同時にやると、うまくいかなかったときに原因が絞れません
- 会計の受け方を先に決める:退店時にレジで、と決めて、卓上の札と画面の両方に書いておく
- 2週間見る:見るのは2つです。替え玉と追加の数が増えたか、麺上げの手を止めて聞き返す回数が減ったか
2週間やってどちらも変わらなければ、その店には要らなかったということです。やめても、印刷したQRの紙が残るだけで済みます。
導入して困ることの一覧はデメリットと対策に、注文の回数が多い業態でどこまで効くかは居酒屋への導入にまとめています。
券売機はそのままで、カウンター2席から試せます
スグオーダーは月額780円(税込)/1店舗、初期費用0円。手持ちのスマホ・タブレットとQRの印刷だけで、今日の営業から使えます。14日間無料で、クレジットカードの登録も要りません。まずは夜の時間帯に2席だけ置いて、替え玉とビールが何回入るかを数えてみてください。
無料で始める先に試したい方は、実際の注文画面のデモをどうぞ(登録・インストール不要。注文はどこにも届きません)。
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